クラシック音楽を楽しむ広場

クラシック音楽を聴いた感想を記します。

ヒンデミット:前庭に最後のライラックが咲くとき 

愛する人々へのレクイエム」という標題がついています。音楽は、前奏曲と11の楽章から構成されています。 

ロバート・ショウ指揮、アトランタ交響楽団と合唱団によるCDを聴いての感想です。

 

この演奏を指揮しているロバート・ショウが、ヒンデミットに委嘱し、創作された作品です。

 ヒンデミットは、第二次大戦終戦直前に亡くなった第32代 大統領フランクリン・D・ルーズベルトの追悼と第二次大戦の犠牲者への追悼をこめて作曲しました。

 テキストは、詩人ホイットマンリンカーンを偲んだ長編詩「前庭に最後のライラックが咲くとき」をテキストにしたレクイエムです。テキストは、英語ですが、ドイツの合唱音楽の伝統に立った作品といえると、思います。

 作品が作られた時期をたどると、作曲家 パウルヒンデミットは、1934年頃からナチス政権により、ドイツを追われ、トルコ、スイスへ移り、戦争を避けて、アメリカに移住しました。アメリカの市民権を得て、そのころの孤独な気持ちが、作品レクイエムににも出ています。

ロバート・ショウは、同時代の作曲者の中でも、他の作曲者たちにも影響を与えた偉大な4名と、その作品を挙げています。

バルトークカンタータ・プロファーナ

ストラビンスキー :詩編

シェーンベルク :地上の平和

ヒンデミット:前庭に最後のライラックが咲くとき 

 

 演奏を聴いての感想は、澄んだレクイエムではありません。合唱部分はズシリと重厚で、独奏部も重たいです。 

 誰にでも訪れる死について、フォーレのように安堵の気持ちで、天国へ向かい入れられるのではなく、不安感もよぎるほどの心痛さを音にしています。

 久しぶりに、聴きました。また、時々聴いて、作品の理解がだんだんと分かるようになればと思います。