ゆるゆるのべートーヴェン ピアノソナタ(月光・熱情 非愴)と評判だったCDがあり、ライナーノーツでも、そのように書かれており、びっくりしました。
この演奏は、独特なもので…という書き出しの記載にはじまり、フランソワの人物評も酒好きで、酩酊してコンサートに臨むこともあった逸話も載っています。
演奏を聴いて、べートーヴェンのソナタはこう弾かねばならないと、無意識に皆が縛られていると、思いました。バックハウス、ギレリス、ブレンデル、ケンプ、ポリーニ、どれを聴いても高い精神性と、強靭なタッチ、説得力があります。グールドは、全曲のうちいくつかは、高い評価を受けていますし、まあ納得もいきます。
では、このフランソワによる演奏は、確かに月光の第3楽章なんて、鍵盤を押しているのかなと思えるところがあったり、他でも、テンポがゆれたり、逆にいえば、すごく面白い演奏です。
私は、べートーヴェンのソナタは、ギレリスが最高だと思っています。聴く側にも緊張感を強いりますが、完全に音を響かせ、吟味に吟味を重ね、録音に臨んだのが分かります。
とはいえ、フランソワのショパン、ラベル、ドビュッシーは最高の中の最高です。天才の発露です。
なぜ、かれが、このべートーヴェンを録音したのか良く分かりません。