クラシック音楽を楽しむ広場

クラシック音楽を聴いた感想を記します。

ベルリーオーズ 幻想交響曲 初めて聴いたCD演奏は刷り込みかどうか?

 有名な曲だけに、多くの指揮者、オーケストラが録音しています。
私はクラシック音楽を聴き始めた高校生の時に、3枚目に、クラシック音楽に詳しい親友から借りたCDでした。
 帰宅してCDプレイヤーにかけた時の興奮を未だ覚えています。それまで、どんな音楽でも聴いたことのない、自由さ、おどろおどろしさ、音のつらなり、音楽の構成に驚嘆しました。そのCDは、その楽曲の中でも、名盤中の名盤であったのです。
 
 初めに聴いたCD演奏はその時の感動が頭に残ります。私は、その後、様々な演奏CD、演奏会へも行きましたが、このCDの演奏が一番だと思っています。CDという媒体を通してですが、指揮者、オーケストラが、その時代だからこそに、取り組んだ使命に、心から燃えているのが、録音を通じてでもわかるからだと思います。
 
 シャルル・ミュンシュ指揮 パリ管弦楽団
1967年に当時のフランス政府の「諸外国にパリ及びフランスの音楽的威信を輝かすこと」を目的に作られた、パリ管弦楽団。その指揮者として任命されたのが、シャルル・ミュンシュです。

 そして、初めての演奏会で取り上げたのが、この幻想交響曲で、その少し前に録音されたのが、このCDです。

 5楽章から構成されていて、
第1楽章 情熱
 2   舞踏会
 3   野の情景
 4   断頭台への行進曲
 5   サバの夜の夢
聴いたときは、まだ聞き初めでしたので、題名が付いているから、とてもイメージしやすく聴きやすかったことを覚えています。

ストーリーは、素晴らしい女性にあって、情熱を燃やし、希望をもつが、失恋し、その人は、薬を飲むが、奇怪な夢を見て、夢の中で、死刑を宣告され、断頭台へと向かう。自分の葬式に群がる幽霊、亡者が集まるという話。

音楽は、素敵な人に出会いうれしいので、第1,2までは、とてもしなやかで、優雅にすすみ、
第3楽章では、心にぽっかり穴が開いた感じが表現され、それでも、かすかな希望が、ひょこり顔を出すが、どこか絶望感を予感させ、失恋した自分を、客観視しようと努めるが、現実は失恋だと改めて気づき、孤独の岸壁にたたずむ世界、荒野の世界が表現されます。
 
  第4楽章では、とうとう悪夢の世界となります、冒頭からまさに刑場へと進む、重い足取りが、見事なほど、グロテスクに音により奏でられます。でも単にグロテスク一辺倒でなく、この楽章から、いよいよテーマソングが顔を出し、盛り上がりをみせます。
 最終章、暗い淵にいる感じを醸し出す音楽で始まります。「怒りの日」のパラフレーズが出て、鐘の音が音楽に味を添えます。

 一聴バラバラな楽章かと思いますが、今、改めて聴いてみると、全体的に、構成がしっかりしていて、標題が付いているから、初めて聴く人にも、とっつきやすく、ぜひとも聴いてほしい名盤です。

 こんな名曲は、そうそうありませんし、作られた時代がヴェートーベンの第9から数年という背景を考えても、一気に古典派からロマン派に時代の変遷を塗り替えた画期的な曲だと思います。

 強く推奨します。一度聴いてみてください。