クラシック音楽を楽しむ広場

クラシック音楽を聴いた感想を記します。

ポーランドの作曲家:グレツキの交響曲第3番 悲歌のシンフォニー

高校を卒業した1993年

 私が高校を卒業して、小遣いを貯め、吟味に吟味を重ねて、CDを購入していた時です。大学生の いとこのお兄さんと久しぶりに会い、進学のお祝いだから、何か欲しいもの買ってあげると言われ、このCDを選びました。

購入を決めた理由

 CD店舗に足しげく通っていた私は、店舗で流れてくる、聴いたことのないほどの重々しい歩みのメロディと、第3楽章で歌われる何かしら、痛々しいながらも、心に刺さるほどの美しいメロディに魅了されていたからです。

 集めていたクラシック音楽CDは、まだ、バッハ、ベートーヴェンショパンくらいの中、初めて現代音楽の分野の音楽を手に入れ、何度も聴きました。

 世間でも、現代音楽が、世界的(欧米を中心に)に30万枚を超えるヒットとなり、聴かれるというのは、異例の現象でした。そのきっかけは、第2楽章の「お母さま、どうか泣かないでください。」の歌が、イギリスのFMで、繰り返し放送されたことによります。

演奏者について

デイヴィッド・ジンマン指揮、ロンドン・シンフォニエッタ

ドーン・アップショウ(ソプラノ)です。

 当時、初めて聴く指揮者、オーケストラ、ソプラノ歌手でしたが、作品をよく表現していると感じました。

 今聴いても、そう思います。演奏者が、作品にこめられた作曲者の想いを懸命に表現しようとしていると感じるからです。

 

作品の紹介

 このヘンリク・ミコワイ・グレツキの「悲歌のシンフォニー」:

ソプラノとオーケストラのための作品で、ソプラノの歌詞は、第2次世界大戦での女性の悲しみがつづられています。

 第1楽章の始まりは、弦楽合奏による、いつ終わるとも知れない、冒頭のコントラバスの低い音から始まる 音の連なりが奏でられ、中心部のソプラノの歌は、「聖十字架修道院の哀歌」として知られる15世紀ポーランドの祈りの言葉が歌詞になっています。

第2楽章の歌は第2次世界大戦末期に囚われた女性が独房の壁に書いた祈りの言葉です。英語で歌詞は出ています。

お母さま、どうか泣かないでください。
天の清らかな女王さま
どうか、いつも私をお守りくださるよう
アヴェマリア

(ナチスドイツ秘密警察本部のあったザコパネの第3独房の第3壁に刻まれた祈り、)

第3楽章は、戦いで、息子を失った年老いた母親の深い慟哭が刻まれています。

 特にこの楽章は、歌詞の意味も何も知らずに聴くと、カノン形式の実に美しいメロディなのですが、歌詞を読むと、心にぐっと訴えかけてくるものがあります。

(以上の作品紹介の記載は、ライナーノーツを参考にしました。執筆は 音楽学者で、音楽評論家の白石美雪氏)

このライナーノーツを片手に、歌詞対訳を見ながら、何度も聴きました。

 CDジャケットの表紙写真が、銀色を背景とした黒色の影の女性で、曲の意図、雰囲気を、表していると思います。

 そして何より、この作品は、音楽の領域を超えて、大切にしないといけないものは、「何か」を伝えています。

 是非、一聴してほしいです。購入はこちら、

 

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グレツキ:悲歌のシンフォニー