今回は、古典派の作曲家ハイドンの鍵盤音楽を取り上げます。
交響曲、弦楽四重奏曲分野での器楽形式を完成させた ヨーゼフ・ハイドン。
同じ古典派でも、モーツァルトやベートーベンのピアノ曲は、頻繁に演奏で取り上げられ、録音も多く出ています。一方、ヨーゼフ ハイドンのピアノ・ソナタは、全集も限られ、1枚のCDで、有名な4ソナタ程が入っている盤が多いです。
ハイドンの77年の生涯において、多くのクラヴィーア(鍵盤)・ソナタを残しました。
その数は、52曲とも54曲?また62曲とも言われています。
その曲数が定まらない理由は、今から、200年も前のことでもあることに加え
1. ハイドン自身、自らの作品を厳しく吟味し、初期の習作の出版をしなかったこと
2.30年に渡り仕えたエステルハージ伯爵邸が、火事により、ハイドンの自筆譜が消失したこと
3.ハイドンの名声はヨーロッパ中に知れ渡り、ハイドンの名を冠した他人の作品も出版されたこと
により、はっきりしないのです。
ハイドンが鍵盤楽器の手本としたのは、バッハの次男 カール・フィリップ・エマーヌエル・バッハです。
ハイドンは、「カール・フィリップ・エマーヌエル・バッハ の作品を意欲を持って研究し、学んだ」と語っています。
さて、なかでも、ソナタ第49番変ホ長調は、一つひとつの音の輪郭がしっかりしており、聴きやすく、ハイドンの鍵盤音楽の世界にひたることが出来ます。
均整のとれた古典音楽は、作品自体が、高度に完成されており、今の時代のピアノで、弾いて聴かせるには、優れた見識と、技術。ピアノの感覚が要求されることでしょう。
ハイドンのピアノ・ソナタのCDが多く出ていないのも、弾き手が、微妙にそこら辺の難しさを知るからとも推測します。
聴く側からすると、それでも世に問おうとするピアニストの録音は、珠玉のようであり、実際、聴くと、とても新鮮な音楽です。とても、創意工夫に満ちた、なおかつ端正な音のたたずまいに引き込まれます。
エマニエル・アックスのピアノで聴いています。エマニュエル・アックスは、カヴァコス、ヨーヨーマと、ベートーヴェンの交響曲編曲版演奏を録音したりと、今でも活躍しています。
アックスの演奏は、端正でありながらも、とても、躍動感があり、楽しめます。
ハイドンのピアノ曲は、最近、演奏家ポール・ルイス、クリスチャン・ベザインホウト(フォルテピアノによる演奏)なども取り上げており、今後、皆に知られ、なじみのある曲になると思います。
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