クラシック音楽を楽しむ広場

クラシック音楽を聴いた感想を記します。

ドメニコーニ作曲:コユンババ クラシックギター曲

ドメニコーニ 「コユンババ」猪居 亜美さんのCD



私は、クラシックのギター曲は、作曲者と曲名が、何故か、一致しないのですが、唯一印象に残っている曲の紹介です。

 作曲者 カルロ・ドメニコーニは、イタリアのギタリスト 兼作曲家で、コユンババは、1985年に作られた曲です。全体は、タイトルのない4曲から構成されている13分位の曲なのですが、なんとも、哀愁を帯びたメロディなのです。

 ドメニコーニは、夫人の母国であるトルコに住んだことがあり、その土地の民俗音楽から、取り入れ、作曲しました。

 

【題名について】 

 「コユンババ」というのも、不思議な題名です。由来は、作曲者の夫人のトルコの美しい湖のある村の名前、あるいは、その地方を含む地名の名前、もしくは、伝説の羊飼いの老人の名前という説もあります。

 字体をとらえた解釈では、「コユン」(羊)、「ババ」(父)。トルコに住んでいた隠者の名前で、その地方の湾の名前が、コユンババと、呼ばれている話もあります。

 

 ギターの技法的には、調弦を通常の方法と変え、開放弦を弾いたときに嬰ハ短調の和音が鳴るように、変則的に合わせているのが、特徴だそうです。だからこそ、面白い音響効果が、独特の夢うつつの中にいるような曲の調べになるのだと思います。

1.モデラート:トルコの民謡風です。

2.モッソ:16分音符のアルペジオが、曲を聴かせます。

3.カンタービレ:盛り上がりながら、転調していきます。

4.プレスト:動機のモチーフを速度を速め展開させます。

 

 私が、初めてこの曲に出会ったのは、木村 大 氏のデビュー盤CD「ザ・カデンツァ 17」でした。デビュー曲に、この曲集を入れるあたり、若い氏 の自信の表れと、勢いであると思います。木村 氏の演奏は、比較的、ギターの音色一辺倒でなく、淡々として、澄んだ音色が特徴に思います。1回目を聴いた時から、このような名曲があるのだと、うれしかったことを覚えています。ちょうど私が、35歳くらいで、クラシックギターを習い始めたころに、出会った演奏でした。

  

 続いて聴いたコユンババのCD演奏家は、村治 佳織 さんです。

 彼女とは、過去、サイン会でお会いしたことがあり、私が、学生の時、店舗でCDを購入してのサイン会でした。そのCDタイトルは、「グリーンスリーブズ」で、95.1.21の発売とCDに記載があります。私が、当時、21歳頃から、少しは、クラシックギターに興味があったことの証明になります。久しぶりに取り出して、サインCDを眺めています。大阪は、梅田の32番街の「大月シンフォニア」でのサイン会であったことを思い出しました。ちょうど、バイトで貯めたお金で、少しずつ、コレクションを始めていた時期です。名曲、名盤を探していた一番楽しい時間でした。懐かしい。

 村治 佳織さんの演奏は、整った演奏で、音により、気持ちを込めて奏でているように思います。録音でありながら、録音マイクの向こうの聞く人のことを思ってくれているように、私は感じます。(ただ、CD在庫を調べましたが、現在入手が難しいようです。)

 

  続いて、出会ったCDは、ミロシュ・カラダグリッチの演奏です。イエペス、セビゴア、セルシェルに続く、ドイツ・グラモフォンからの、クラシックギターによる久々の登場の彼は、ライナーノーツを読むと、熱心に練習して、今の演奏にたどり着いたとありました。だから、簡単に天賦の才を持った演奏家と呼んでは、いけないと思います。積み重ねた成果から醸し出される演奏は、均整がとれていながらも、微妙な揺らぎを感じることが出来、曲の中にも、あたかも曲と同調したかのような、ほんの少しの緩急を感じる箇所もあります。

 このCDは、アルベニスアストゥリアス(伝説)、タレガのアルハンブラの思い出・ラグリマ(涙)、ロマンス(禁じられた遊びの名曲)、そして、私の一番好きなクラシックギター曲 、グラナドスの「オリエンタル」が入っているので、一度、聴いてみてください。お薦めします。

 

 そして、最後になりますが、直近で、入手したCDは、猪居 亜美さんによる演奏です。私は、数年前に、引っ越しと共に、クラシックギターを習うことを止め、今は、CDを聴くことが中心になっています。それも時々、棚から引っ張り出して聴くくらいです。それでも、コユンババだけは、好きな曲なので、最近の若い方の演奏は、いかようか、という思いで購入しました。一聴して、期待通りの素晴らしい演奏でした。落ち着きがありながらも、勢いに乗るところは、感性に身を任せるといいますか、全体のバランスが良いと感じました。特に、2曲目のモッソの 16分音符の分散和音が、粒が揃い流れるようで、曲の良さを実感できます。また、CD内のその他の曲では、サグレラス という作曲家の 「はちすずめ」という曲が1曲目に入っています。「ハチドリ」のことです。鳥の羽ばたきが、聞こえる様な、珍しい曲もあり、楽しめます。

 以上、私なりの感想をつらつらと書きましたが、どの演奏家のCDを聴いても、曲の持ち味は、十分に堪能できます。以下に購入サイトを載せましたので、良ければ、一聴してみてください。

 

地中海の情熱

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  • アーティスト:ミロシュ
  • ユニバーサル ミュージック
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Black Star

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この盤は、タワーレコードでも取り扱いがありました。

猪居亜美/Black Star (tower.jp)