前の記事に続いて、編曲版です。
無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ 第2番 二短調 よりシャコンヌをブゾーニが編曲した版は、ピアノ楽器の性能を、最大限に発揮し、活用した編曲だと思います。
今から、25年ほど前、ドイツの楽譜出版社であるブライトコプフ・ウント・ヘルテル社のピアノ楽譜を買い、今、久しぶりに、CDを聴きながら、楽譜をたどっています。
(大阪のササヤ書店で購入しました。 表紙うらに、タグが未だ付いていて、1,360円と書かれています。当時は、円高。1ドル90円くらいだったでしょうか。あいまいな記憶ですみません。)
(1) まず、シューラ・チェルカスキーの演奏で聴きます(ニンバスレーベル)。
チェルカスキーが大阪のシンフォニー・ホールに来られた時、演奏を聴くことが出来ました。年配の優しそうなおじいさん という印象でした。ちょこんと椅子に座り、聴衆に語りかけるように、音楽をいつくしむように 奏でる姿が思い出されます。
CDで、聴いても、音の輪郭がはっきりしていて、難しいブゾーニ版ということを忘れさせてくれます。
(2) 続いて、ホルヘ・ボレットによる演奏です。(GREAT PIANISTS OF THE 20TH CENTURY という企画盤で、原盤レーベルは、フィリップスもしくは、BMGです。)
最初の一音から、打鍵がクリアです。ボレットが、リスト直系の弟子というのも、わかる演奏です。曲の盛り上がる部分への躍進部・聴かせどころでは、音の強弱を存分に活かした演奏をしています。
(3) そして、ルービンシュタインによる演奏です。
前提の話として、ブゾーニと、ルービンシュタインは、互いに会っていて、ルービンシュタインは、ブゾーニの演奏を聴く機会が何度もありました。
ルービンシュタインは、 ブゾーニが弾く、シャコンヌを聴き、「これは、ピアノ音楽の傑作である。バッハ自身も容認したに違いないと、私は思う。」とのコメントを残しています。
ルービンシュタインの演奏(このRCAへの録音)は、ライナーノートに、84歳の時の録音との記載がありますが、一言でいうと、とても端正な演奏です。
それぞれの演奏家が残した録音を聴くことは、楽しいです。何枚か持っていると、その時の気分で、演奏者を選ぶことが出来る楽しみもあります。
話は、変わりますが、私、ショパンの曲は、ルービンシュタインによる演奏が一番好きです。真摯に真正面から取り組んだ演奏であることが、感じ取れるからです。